<Header>
<Author: 柳宗元>
<Title: 南磵中題>
<Format: 格式不明>
<Year: 1964>
<BookName: 唐詩選　上>
<Translator: 斎藤晌>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 南磵中にて題す >
<BookPage: 47>
<UsedPage: 1>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
秋氣集南磵，
獨遊亭午時。
廻風一蕭瑟，
林影久參差。
始至若有得，
稍深遂忘疲。
羈禽響幽谷，
寒藻舞淪漪。
去國魂已遠，
懷人淚空垂。
孤生易爲感，
失路少所宜。
索寞竟何事，
徘徊秖自知。
誰爲後來者，
當與此心期。
<End Poem>
<Translation>
秋の氣がこの南磵に集まっている。そこにわたしはたった一人で、正午どきにやってきた。吹きまわる風がさびしげにざわつき、ふそろいな林の梢や枝があるいは長く、あるいは短く、入り亂れてゆれ動いている。やってきたばかりで、何か胸がすうっとしたような氣がしたが、だんだん分け入ってゆくにつれて、とうとう疲れるのも忘れてしまった。群れをはなれた鳥の鳴くのが、ひっそりした奥深い谷にひびき、自分の目の下には、さざなみだってゆれて流れる谷水に、いかにもさむざむとして見える水藻が舞っている。 
長安の都を去って、この遠い邊地に流された自分としては、魂が異郷にさまよって感じで、ふとしたしい友人などのことを思い出すと、おぼえず涙が浮んで来る。ひとりぼっちでいると、とかくセンチメンタルになりやすい。官途で失敗した人間には、何ごともあまりうまく行かないようだ。こんなに無聊な、うらぶれた氣持ちというものは、いったい、どうしたらいいのか。それはただ、ぶらぶらと歩きまわりながら、ただ自分だけにしかわからぬ氣持ちだ。これから後、誰か同じような運命の手にあやつられて、ここへやってきて、ここの景色を眺めて、せめてもの慰めとするような人間があったら、この今のわたしの氣持ちがわかるだろうよ。
<End Translation>
<Formatted Translation>
秋の氣がこの南磵に集まっている。
そこにわたしはたった一人で、正午どきにやってきた。
吹きまわる風がさびしげにざわつき、
ふそろいな林の梢や枝があるいは長く、あるいは短く、入り亂れてゆれ動いている。
やってきたばかりで、何か胸がすうっとしたような氣がしたが、
だんだん分け入ってゆくにつれて、とうとう疲れるのも忘れてしまった。
群れをはなれた鳥の鳴くのが、ひっそりした奥深い谷にひびき、
自分の目の下には、さざなみだってゆれて流れる谷水に、いかにもさむざむとして見える水藻が舞っている。 
長安の都を去って、この遠い邊地に流された自分としては、魂が異郷にさまよって感じで、
ふとしたしい友人などのことを思い出すと、おぼえず涙が浮んで来る。
ひとりぼっちでいると、とかくセンチメンタルになりやすい。
官途で失敗した人間には、何ごともあまりうまく行かないようだ。
こんなに無聊な、うらぶれた氣持ちというものは、いったい、どうしたらいいのか。
それはただ、ぶらぶらと歩きまわりながら、ただ自分だけにしかわからぬ氣持ちだ。
これから後、誰か同じような運命の手にあやつられて、ここへやってきて、
ここの景色を眺めて、せめてもの慰めとするような人間があったら、この今のわたしの氣持ちがわかるだろうよ。
<End Formatted Translation>